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「黄色い目の魚(佐藤多佳子/新潮文庫)」

 今年の読了一冊目、といっても以前読んだことはある。解説は角田光代さん(面白い)。
 読んで損はない。私はすごくすごく好き。でも読み終わった瞬間から忘れてるなァ。
 憧れの世界なのかもしれない。この話を読んでいるときは、私は完全に読者で"私"という存在は消えている。みのりの語りだって木島の語りだって文字を追って消化しても私のものには絶対ならないし全然解っていない気がする。二人とも強烈に"自分"を持っているからだろう。現実の話のように錯覚したりはしないけれど、「一人の作家が作った話」の領域をでているように思う。
 単行本で読んだときも今回読んだときも、読み始めると引き込まれてなかなか我には返らないけれど、本を眺めて読み終わりたくないって何度も思ってた。  あとがきでちょっと嬉しい文章がある。あと10年でも待ちます。

by maokon | 2006-01-05 00:00 | 読書ランニング

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