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「ニシノユキヒコの恋と冒険(川上弘美/新潮社)」

 ニシノくんの、悲しく、色っぽく、切ない、恋のストーリー。 本文から引用、p173
 「あのときはすべてがはっきりとわかっているような気がしていたが、今になってみると、何もかもが曖昧だ。」
 p184「いやな男だ。男にとっても、女にとっても。」
 ニシノくんだけがやたらに陳腐に思えてしまう。男のせいに見せかけて女のせいなのか、女のせいの振りをして男のせいなのか。きっぱりと分けることは出来ないし、そんな考え方はばかげたものだ。読んでいると、くすぐられるような、心の中に何かそっと置かれた感じがする。
 もちろん全体をとおして読まなけりゃだめだけど、「しんしん」が印象的だった。

by maokon | 2005-08-15 00:00 | 読書ランニング

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