個人戦

 6時、携帯電話のアラームで、かなり乱暴に、自分自身を起こした。今日はバドミントンのシングル個人戦。試合が始まる前に練習をするためには、それなりに早く行かなくてはならない。
 1割覚醒したまま二度寝の世界へ行き、心底後味の悪い夢を見る。就職先の社員さんと私が道を歩きながらしゃべっている。私のことについて聞かれているようだ、私は大して心にもないことを相手に与える印象をよくしようと話していた。勿論中身のないことで、そのうちにぼろが出て、逆に弱音が出てくる。
 起きなけりゃ! 起きた瞬間から最悪だった。夢の中で、私は一人で二役して、自分に対していい所を見せようとしていた。いい所じゃないと気づいていたくせに。さらに、もう一人の私はそれを突いてくる。何がなんだか、とにかく胸くそ悪くてしょうがない。
 そんな夢と現実の朦朧とした中で、同じ様に大会に参加するはずだった後輩からメールがきた。体の調子が優れないので棄権しますとのこと。私はそれをいいことに、予定より出発を三十分ほど遅らせた。
 結果的にはよかったようだ。ただの甘えなのだけれど。自転車で行くつもりであった。ウォーミングアップにもなるだろうと思ったのだ。しかし、はじめていくところだったので距離感がつかめず、予想よりもずいぶん短時間でたどりついた。三十分遅らせていなかったら何していたんだろう。
 けれども、後輩が棄権のために、練習しようにも打つ相手がいなかった。すみっこで地味にストレッチをする。選手がどんどん到着する。人がいる中での一人はつらいかもしれない。
 早く来たのに、打つこともせず、身体は冷えるばかりで、受付を済ませると、私の試合予定時刻が13:00過ぎだということがわかった。4時間も何をしろと?無意味だった。気持ちはどんどん落ち込んでいく。
 後輩のように棄権者が出たりして予定より試合は早く進んだ。
 不意打ちで試合番号がコールされる。2時間早かった。びっくりした。動揺していた。試合前に少しでも足を動かそうとコートの中で動こうと思っていたのに、勘違いしていた他大生が打っている。声をかけてコートをあけてもらうと、すでに審判と相手が試合を開始しようと待っていた。
 じゃんけんで勝つ。はじめのサーブ権をもらう、このときが今日はじめてシャトルを触ったときだった。試合前に少し練習として打つ時間がある。横から落ちてくる髪をピンで留めることを忘れたのに気づいた。体育館が変わると、ラインの感覚も天井の感覚(高さ)も変わる。その感覚をこの数本の練習でつかむ。戸惑っていた。
 試合が始まる。打ち合いが続かなければ、どんどん点が入っていく。あっというまに時間が過ぎてしまう。私は大きく上から打つ球を多用したかった。が、どうやら相手は違うタイプのようだ。スマッシュが取れない。体勢が崩れたところを、ほとんどすべてネット際にポロリと落とす技で決められる。イライラする。いろんなことが一気にやってきて焦った。集中、集中が出来ない。自分を確認することが難しい。
 今までしてきた個人戦シングルのなかでは、まだ良い方とは言えるだろう。ショットがまともに打てるシーンやいくつかの動きはできたのだから。いままでの成果が出てないとはいえない。
 試合前の、準備不足。時間のことも、足の動きのことも、ウォーミングアップのことも、感覚を掴むことも、髪留めのピンのことも。言い訳にならない、どうにかしようとすればどうにかなったんじゃないか? 例えば数回しか話したことがなくてもいつも部活同士でお世話になっている他大の男子がいた。打ってもらえばよかったんだ。せっかく朝早かったんだから、一人で足の動きをしていればよかったのだ。待っている時間、外をランニングしていてもよかったじゃないか。ピンだってあらかじめしっかり留めておけばよかったんだ。勇気がなかっただけ。
 後悔してる?上に上げたことは言える。解決策も頷ける。でも、今日を経験した今でも、以上のことをする勇気はまだ持てない。相変わらずの弱虫だ。
 「反省はしても後悔はしない」、いつか先輩が言った言葉だ。反省も後悔も言いかたを変えただけのような気がする。あまり理解できていなかった。結局改善できないと思っても後悔しているのか。
 「勝つために楽しいバドは少し捨てた」、これも先輩の言葉。楽しくないなんて嫌だ、と思っていたけれど、試合としてまともに打ち合えるようになるためだったら、『楽しい』は自然と忘れて練習に打ち込むかもしれない。それは今日はじめて感じたことだ。

 頭、痛い。
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by maokon | 2006-10-22 18:58

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